第9回ステアラボソフトウェア技術セミナー 上野雄大 様:「時間」の関数による関数型リアクティブアニメーション The 9th STAIR Lab ST Seminar: Dr. Katsuhiro Ueno
2025.07.06

2025.07.06
千葉工業大学人工知能・ソフトウェア技術研究センター(ステアラボ)では、従来機械学習や自然言語処理等の人工知能に関するセミナー(ステアラボ人工知能セミナー)を開催して参りましたが、この度、ソフトウェア技術研究に関するセミナーもオンライン形式で開催することに致しました。
どなたでも無料でご参加いただけます。オンライン形式のため特に定員数は設けておりませんので皆様奮ってご参加ください。
【日時】2025 年 7 月 25 日 (金) 15:00〜16:00
【講演形態】オンライン
【講演者】新潟大学 上野雄大 様
【講演タイトル】「時間」の関数による関数型リアクティブアニメーション
【講演概要】
本講演では、「時間」の概念を捉え直すことで、時間変化する値を陽に「時間」を受け取る関数として表現する、関数型リアクティブアニメーションプログラミングの一方式を紹介する。関数型プログラミングの考え方の下では、アニメーションは時間から静止画への関数とみなせる。関数型言語を用いれば、このような型の関数は、初心者でも簡単に書けるほどに、直截かつ宣言的に定義できる。本講演で紹介する方式では、この単純明快な考え方を、マウスやキーボードなどの外部入力に反応するリアクティブなアニメーションに拡張する。すなわち、外部入力を含むあらゆる時間変化する値を「時間」の宣言的関数として表現し、それら関数を関数型言語の標準的な機能で合成することで、アニメーション全体を構成することを可能とする。これを実現するために、本方式では「時間」の概念を「世界の状態のスナップショットを表すレコード」のシークエンスと定義し直す。これにより、時間にまつわる現象の観測値を、レコードからの射影演算、すなわち「時間」の関数として自然かつ効率的に表現できるようになる。本講演では、Journal of Information Processingに掲載された論文“Functional Reactive Animation with Functions of Time”を踏まえて、本方式の着想に至った経緯、本方式に基づいてSML#で実装したアニメーションプログラミングフレームワークの設計および実装の詳細、および本フレームワークの関数型プログラミングを教える現場での利活用の状況を紹介する。