2025年1月21日、情報・システム研究機構 人工知能法学研究支援センター所長の佐藤健先生をお招きし、人工知能法学に関する講演を開催しました。
近年、大規模言語モデル(LLM)の活用が多岐にわたる言語タスクで進む中、その有効性を評価する声とともに、多くの課題も指摘されています。特に、法律分野は言語タスクの中でも難易度が高く、ミスによる影響が深刻になり得る領域です。この分野ではAI技術だけでなく、法律に関する専門知識も不可欠とされています。佐藤先生はAI研究者としての専門性に加え、法科大学院修了および司法試験合格というユニークな経歴を持つ、まさにこの課題に最適な研究者です。
講演では、LLMの利点を活かしつつ、重要な判断が求められる場面ではロジックに基づいた推論を行うハイブリッドアプローチについて詳しく解説いただきました。
具体的には、事案に適用する法律を特定する際にはLLMが優れた能力を発揮するものの、関連する条文を組み合わせて結論を導き出す段階では、より厳密で論理的なルールに基づいたアプローチが有効であるという点が議論されました。また、法律条文には専門的な用語が含まれることが多く、これらの用語をLLMが正確に理解していない場合もあるため、この課題を克服するには法律関連文書を活用したファインチューニングが重要であるとの指摘がありました。
本講演を通じて、法律分野におけるAIの可能性と課題、そしてその解決策に向けた展望について深い理解を得ることができました。佐藤先生の専門的な知見と実践的な提案は、今後の研究や実務に大きな示唆を与えるものでした。